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連綿と長い年月を人々の生活と共に、風雪に耐え人々を守り抜いてき
た生命力と、キズつき汚れていても「木」の持つ人肌にも似た温もりは、経済性と合理性を求めた新しい建築では、得ることが出来ません。
私たちが「受け継いだ遺産」を、未来に継承する為のネットワークです

再生を考える場合、古い建築様式の形だけを残しても、実際の生活が機能的で、便利で使い勝手が良く、居心地のよい空間でなければ、再生したことにはなりません。心地よく住まうことが出来て、はじめて家族の方々も建物を大切に思われるでしょう。大切にする心が芽生える設計力が 「 未来に継ぐ力 」 になると信じています。
古民家再生ネットワークでは、建物の大小に拘らず情熱をもって再生いたします。


私たちは、1980年代に江戸末期民家の再生「中浜の家」の出会いから古民家再生に35年以上関わってきました。
その当時は「古民家再生」という定義もなく、一部の情熱をもった方々が復元保存に尽力されていましたが、価値ある古民家がたくさん解体され、工業製品化された商品住宅が建ち並ぶ町並みに悲しさを感じていました。

日本の民家は、「今では造ろうとしても、造りえない日本の遺産」です。

2003年に「古民家再生ネットワーク」を立ち上げたときの思いは「未来に残したい日本の遺産」をキーワードとして、「受け継いだ遺産を未来に継承する」手助けになればとの思いで発足しました。当初は「古民家再生」に情熱を持つ人たちと全国的にネットワークを組んで、一軒でも多く、次の世代に受け渡たせる古民家を残したいと思っていました。

しかし、たくさんの建設会社から参加希望の連絡を沢山頂きましたが、その多くは私たちの再生基準とする「質の高い木造住宅の施工実績・木構造施工技術・古民家再生に対する思い・情熱」がレベルに達せず、また「古民家再生」を営業活動の一環として販路拡大が目的で参加したいという思いが見え見えでした。それで、「古民家再生ネットワーク」では、営利が最優先目的で古民家再生を扱う方々とは一線を画し、35年前から古民家再生に携わり豊富な経験とノウハウを持っている一級建築士の平井憲一が古民家再生の設計・指導・監修を行い、共有した理念を持ち互いに信頼できる人たちとだけ古民家再生活動を行うことに決めました。実態の分からない様々な会社と適当にネットワーク規模を広げるより、「古民家再生に携わる者としての矜持」を大切にして、微力ですが一軒づつ丁寧に古民家を再生してきました。 結果、「財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」が主催するコンクールでは600件以上の応募の中から、国土交通大臣賞・住宅金融支援機構理事長賞ほか多数受賞させて頂きました。


2003年当時は古民家に情熱をもって再生している人々も少数でしたが、時代の価値観も変わり、今では「古民家再生」をビジネスチャンス!と捉え、売るための商品として住宅を造っている大手住宅メーカーから、町の大小の建設会社までが「古民家再生やっていま〜す」と建設業界に広がったのは喜ばしいことです・・・が、ブームに乗って知識も経験も技術も半端な会社が「古民家再生」の看板をネット上に喧伝・営業活動して、本当の「匠」といわれる職人さんが廃業に追い込まれている現状をみて残念でなりません。

古民家を再生するには職人さんの「手わざ」が必要です。普段から商品住宅を建てている大工さんは、のこぎり・ノミを満足に使えません。殆んどが工場で加工された木材を組み立てているだけです。後はドライバーでビス止め作業をして仕上げれば完成です。実に効率よく簡単に住宅を建てているのです。(消費者のニーズに合わせ短い工期で安く仕上げているのでしょう)一方、古民家は、先人の知恵と創意工夫が凝縮した木造技術の結晶です。長い時間をかけて修行を積んだ職人技が必要です。一朝一夕に技術の習得はできません。今では実績も無い多くの古民家再生を謳う会社が氾濫して、素人の依頼主が本物の職人さん「匠」を探し当てるが難しいと思われます。建設会社の会社案内だけでは古民家再生工事ができる実力があるか判断は難しいですが、我われは古民家を数多く再生してきた経験と実績を踏まえた洞察力があります。

私たちのテリトリー以外の地域で古民家の再生・リフォーム依頼を受けますが、その場合は依頼主の知合いか、そのエリアで優秀な建設会社さんを探して、私たちと同じ「古民家再生に対する矜持を共有できるか」面談させて頂き選定させて頂いています。幸いにもご縁を頂いた建設会社さんと職人さんたちは、期待以上の素晴らしい施工をして頂き感謝です。完成した後、職人さんたちは「私たちは造る技術はあっても、デザインと機能性を融合させた古民家の設計はできない!」と言われます。もちろん、「設計者も鋸や鉋を使って家を建てることは出来ません!」設計者は知恵を絞って創造する。施工者は修練した技術で家を建築する。「設計と施工の分離方式」で、プロとして互いに信念を持って得意とする『技』でぶつかり合い、協力してレベルの高い「未来に繋がる古民家」に再生できたことはうれしい限りです。